COD(化学的酸素要求量)測定
今回は水質指標の一つ、CODの測定方法をご紹介します。
COD(化学的酸素要求量)とは
Chemical Oxygen Demandの略で、水中の有機物質や還元物質による汚濁を測る為に用います。主に排水や湖沼・海域など滞留している水が対象となります。一方、水が常に流動しており、微生物による自浄作用を持つ河川にはBOD(生物学的酸素要求量)が指標として用いられます。
COD計測に用いる酸化剤には過マンガン酸カリウムと二クロム酸カリウムがあり、日本では主に過マンガン酸カリウムが使用されてきました(単位はCODmn)。これは、ニクロム酸カリウムを使用した場合、計測後の廃液に有毒のクロムが含まれる為に処理方法が限られる等、いくつかの理由があるようです。しかしながら、過マンガン酸カリウムは二クロム酸カリウムよりも酸化力が弱く、アルコールや有機酸類の検出には限界があります。つまり、食品排水などにはあまり向いていないということです。海外では酸化力の強い二クロム酸カリウムの使用が標準であり、研電社でもこちらのCODcrを計測しています。
CODcr測定方法
CODcr測定には滴定法もありますが、研電社では、より簡易的に測定できる蓋付き試験管を用いた吸光光度法を採用しています。使用しているのはHACH社の測定キットです。
1. 最初に、リアクターの電源を入れ150℃に予熱します。
2. 試薬(二クロム酸カリウム溶液、硫酸水銀溶液)が入った蓋付き試験管を振り、底の沈殿物を懸濁させます。
3. マイクロピペットで測定対象の水を2ml、2.の試験管に入れ、蓋を閉めて振り混ぜます。
試験管が熱くなるので注意。
試験管が熱くなるので注意。
4. リアクターにセットし、2時間加熱します。
5. 2時間後、リアクターの電源を切り、そのまま20分間冷まします。
6. 一度振り混ぜてから、試験管ラックで室温になるまでで放冷します。
7. 室温まで冷めたら、光度計で測定します。
橙赤色の二クロム酸イオンが緑色のクロムイオンに変化しているのが目視でも明らかですが、光度計は残留する黄色いクロムCr6+を測定し、そこから試料中の酸化された物質の量を導きます。
橙赤色の二クロム酸イオンが緑色のクロムイオンに変化しているのが目視でも明らかですが、光度計は残留する黄色いクロムCr6+を測定し、そこから試料中の酸化された物質の量を導きます。
以上がCODcrの測定です。少しでも参考になれば幸いです。